非常階段を駆け上がって

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 周りを見ると、お祭り目的と思われる客がぞろぞろ陸奥屋に入っていく。  ここでぼんやり立っていても、学校の誰かに見つかる可能性が高い。  のり子は思い切って、男の子を追い掛けた。 「エレベーターよりこっちのほうが早いって」  陸奥屋に入るなり、人の波から外れて非常階段に向かった。  店が並ぶスペースは冷房が効いているが、非常階段には熱気がこもっていた。 「暑っ」 「ちょっとの我慢~」  のり子は男の子のあとについて階段をのぼった。  暑さと、男の子の名前を思い出すのと、階段をのぼるのとでのり子はいっぱいいっぱいになっていた。  誰だっけ、誰だっけ、誰だっけ。  暑いよ、疲れたよ。  屋上に着くころにはヘロヘロになっていた。
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