非常階段を駆け上がって

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「あっ……」  ケイコとナオコの笑顔が凍りつく。  のり子も何も言えない。  ケイコとナオコは気まずそうに俯き、来た道を戻ろうとのり子に背中を向けた。  ……こうなるから。  こうなるから、会いたくなかった。  来たくなかった。  お祭りなんて。  ……どうして来ちゃったんだろう。  知らない人たちの笑い声、焼きトウモロコシの芳ばしい香り。  泣いているのはひとりだけ。  のり子はゆっくり、階段に戻ろうとした。 「待って」
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