非常階段を駆け上がって

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 ……どうしてあんなことを言ったのかとか、クラスで庇ってくれなかったのかとか、どうでもよくなった。  のり子はボロボロ泣いた。 「もう、もう、ずっとあのまんまかと思った……」  そのほうが怖かった。  もう、ケイコとナオコと話せないままなのかと思っていた。 「はやく食べなって。溶けちゃうよ?」 「のりちゃん、綿あめも食べるでしょ? お小遣い持って来てる?」  ……いつものふたりだ。  いつもの、ふたりだ……。  のり子はひと口、アイスクリームを食べた。  冷たくて、甘くておいしかった。  のり子が笑うと、ケイコとナオコも笑った。
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