非常階段を駆け上がって

9/21
前へ
/23ページ
次へ
 近所の川べりに男子たちの姿を見つけて、胸がドキンと鳴った。  知っている顔には会いたくない。  前方から自転車集団。  乗っているのは全員女子だ。  のり子は俯き、ブロック塀のそばに寄って、自転車集団が通りすぎるのを待った。  さいわい、みんな学年の違う子どもたちばかりだった。  のり子は公園に入り、白いベンチに座った。  広場では、男子たちが水鉄砲で遊んでいる。  楽しそうだ。  ……あんなふうに、遊ぶつもりだった。  昨年みたいに、ケイコとナオコといっしょに遊ぶつもりだった。  夏休み。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加