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本日は晴天なり。
世界はガリレオの幽霊に取憑かれました。
さあ、皆さん。オペラグラスを持って外へ出かけましょう。
彼が宇宙へ向けた興味が、あなたの未来を創るのです。
――望遠鏡じゃ駄目なの?
――望遠鏡じゃ、遠くが見えすぎちゃうからだよ。
最初から遠くまで見る必要なんてないんだよ。どうしても見たいなら、自分から歩み寄ればいいじゃん。
何が見えるのか、ワクワク胸を躍らせ楽しみながらね。
――でも僕は、オペラグラスじゃ近すぎて見えなかったよ。
――それは……未来が現在に変わった証拠だよ。
――え?
――…………ねえ。
「この間、眼鏡……壊しちゃってごめんね?」
言われて、僕は思い出す。
ズボンのポケットにしまっていたレンズの割れた眼鏡。
かけると視界はちょっと歪むけど、いままで視界がぼやけていたことがハッキリとわかる。気づかされる。不便だけど、やっぱり便利。
ああそうか。
どうりで見えないはずなんだ。
オペラグラスだけじゃ、彼女の赤い頬しか見えないんだ。
end...
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