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「いい被写体だ」
朔也は、
え、と言う風に首を傾げ、
隣を歩いている友人のピエールの視線の先を追った。
「Japoneだろ?」
ピエールはそう言って両手を前に出し、
指をL字型に組んでみせ小さな枠を作った。
焦点を合わせるように、
その指の間を覗いている。
朔也はその枠の向こうに見える人影に目を凝らしてみた。
その中に、少女がいる。
腰まである長い髪、
少し上を向いて瞳を閉じている白い横顔、
それらがこの夏の暑い日差しを受けてキラキラと反射していた。
周囲の喧騒からかけ離れて、
そこだけがポッカリと他の空間を作っているようで、
軽爽とした静かさがあった。
不意に、
その静寂が破られたかのように、
その少女が瞳を開ける。
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