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「―――美咲です」 「俺だ」 電話の向こうでしゃがれた低い声がした。 瑠哀は部屋に誰もいないことを知っているが、 軽く視線を上げて、もう一度確認する。 「なにか変わったことがありましたか?」 「いや。 特に変わったことはない。 ただ、今の街並みを見たら、 うんざりするかもしれんな。 昼を過ぎてから、 続々と若い連中がやって来ている。 八月が始まっての最初の週末だ。 今夜にかけて、 かなりの数が予想されるだろう。 街は、若い奴らであふれるぞ。 どうやって、 あいつの目をこの女たちから離すのか、 一応、聞いておこうと思ってな」 「あなたの目から見て、 目星い人はいましたか?」
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