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「わかった。
携帯の番号を覚えてるな。
何かあったら、
署に直接かけてきてもかまわん。
署の連中に言い聞かせおく」
「ありがとうございざす」
「ああ。健闘を祈る」
プツンと、向こうの回線が切れ、
瑠哀は受話器を置いた。
「今夜ね―――」
瑠哀はゆっくりと振り返り、
クローゼットまで歩き出す。
十八世紀のヴィクトリア調の
重厚なクローゼットを開け、
そこに置かれている小さな箱に目線を落とした。
中には服が何着か詰め込まれている。
これは、瑠哀がここに来たその日に、
家に電話をして
わざわざ送ってもらったものだ。
瑠哀がこの件に関わると決めたその時から、
きっと必要になるだろうと予測し、
速達で送ってもらった。
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