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「うん、そっちの彼は?」
「こいつは上石神井。サークルの後輩でさ、面白い奴だから気に入っているんだ」
「へえ。上石神井くん、はじめまして。あたし根室。こっちの綾瀬はるかみたいなのが川内」
どうも、と上石神井なる青年は軽く頭を下げる。
いわゆるコミュ障みたいな仕草だ。もうちょっと挨拶の仕方ってものがあるだろう。
ということを、綾瀬はるか的笑みを浮かべながら私は思った。
「せっかくだから、一緒に飲もうぜ」
根室が目で「どうする?」と相談してきた。
私も目で「別にいいよ」と返事をする。
根室の知り合いなら悪い人間ではないだろうし、もしかしたら奢ってもらえるかもしれない。
隣りのテーブルをくっつけて、二人がビールを頼み、頼んだビールが出てきたところでもう一度乾杯をする。
「それで、上石神井くんは、どう面白いのかしら」
私が顔を近づけて訊ねると、上石神井はびくついて体をのけ反らせた。
十中八九童貞だろうな、と思った。
垢抜けてないし、顔が幼い。
童貞だからって悪いってことじゃないけど。
「あ、その、僕は、ええと」
「こいつの将来の夢は自分が教祖の新興宗教を立ち上げることなんだそうだ」
言葉がつっかえてなかなか出てこない上石神井に代わって美作が言う。
新興宗教?
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