二度目のプロポーズ

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ガシャンと音を立てて湯のみが割れた。 ついさっきまで使っていた、越前焼の湯のみである。 新潟に一人旅で行ったときに買ったものだ。 特別な思い入れがあるわけではないが、高価だった分、割れるとやはり惜しい気がする。 「めんどくせぇ」 独りごちて、片づけをしてから、気を取り直して茶でも飲もうかと食器棚を眺めて気がついた。 湯のみがもう一個もない。 食器洗いにもだいぶ慣れたと思っていた矢先、湯のみを落としてこれで三つ目だ。 もしかしたらまだ家のどこかにしまいこんでいるものがあるかもしれない。 そう考えて、ひとまず居間の棚から探してみることにした。
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