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このひと月あいつがやっていた仕事をやらなくてはならず、やってみると案外主婦も大変なのだと分かる。
しかも二人分だと量も二倍だ。
今までこんなに重労働をしていたあいつにありがとうの一言も言わなかった自分はなんて感謝の足りない、周りを見ることができない人間だったのだろうと今さら気づく。
しかし、そこまで分かっても、どうしても謝る気持ちにはなれなかったのだ。
携帯で電話番号を出して、通話ボタンを押そうとしては、自分の余計なプライドに邪魔されて、結局携帯を畳んでしまう。
もしかしたら彼女も同じなのではないか、と淡い期待が頭の中に浮かび上がった。
ちょっと言い過ぎちゃったな、そう思ってくれているのなら、もう一度やり直せないだろうか。
お互い嫌いあって別れたのではないのだ。
譲歩しようと思えば出来ない訳もないのだ。
変に意地を張らなければ、一歩を踏み出せば、戻って来てくれるかもしれない。
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