命の危機です、真宮くん。

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「……何ですか、人の顔ジッと見て。警察に通報しますよ」 ……中性的な美少年の顔が、突如不機嫌なものになる。 「え、あ、ごめん。そんな見るつもりじゃなかったんだ」 機嫌を損ねてしまった。私は慌てて謝罪の言葉を口にする。 生クリームの絞りを右手に構えたまま、美少年はそうですか、と呟いた。 水色のエプロンから覗くネクタイを見ると、特進科のものだ。色は一年生。と言うことは後輩か。 ならば少々大きく出ても大丈夫だろう。 特進科と普通科の違いがあれども、こっちはれっきとした二年生。すなわち先輩だ。 「ねぇ、あなたここで何やってるの?」 「ケーキ作ってるんですけど、見てわかりませんかね」 今度は口許に半笑いを浮かべ、小馬鹿にされる。 ……あれ?中性的な美少年が崩れてきている気がする。 「も、勿論わかるに決まってるじゃん。じゃあ何で作っているの?」 「作りたくなったからですよ。それ以外に理由っているんですか?」 質問に質問で返され、私は狼狽えながら首を振った。 美少年(仮)はケーキの仕上げに入りたいようで、私を無視して絞りに両手をかける。 恐らくは焼きたてであるスポンジに絵を描くように、生クリームが絞り出されていった。 滑らかな手付きから察するに、相当経験がありそうだ。 ものの一分程度で、スポンジは豪華なケーキになっていた。最後に苺が乗せられ、美少年(仮)は満足そうに頷いた。
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