3人が本棚に入れています
本棚に追加
「きゃあっ!!」
今まで引っ張っていた手を逆に強く引っ張られ、柚菜は奇声を発して、誠と一緒に地面に倒れ込んだ。
「に~、何やってんのよ!」
「いっつぅ……。だから俺言ったのに……。」
「バカバカバカ!!」
「いやいや、人の話聞かないお前が悪い! てか、俺の言うことわざと無視してたろ!」
誠は地面に寝転んだまま、軽く柚菜の頭を小突いた。
柚菜は頬をふくらませる。
――その時、突然何かの咆哮のようなものが響き、二人は飛び起きた。
「何っ!?」
「これは……!」
警戒する二人。
そこに、何かが襲い掛かる。
「誠伏せて!!」
「どわっ!!」
柚菜は誠を突き飛ばし、自分は強く地面を蹴った。
小さな身体が、自分の背丈の倍以上の高さにまで飛ぶ。
そこで体勢を立て直した柚菜は、すっと目を閉じた。
――次の瞬間、柚菜の黒い髪の中から、一対の白い耳が現れる。
同時に、同じく白の二又の尾も姿を見せた。
そのどちらも、猫のそれに似ている。
柚菜が右手を構えると、その手の爪がすっと伸びる。
構えた右手で、柚菜は着地と同時に、襲って来たものを貫いた。
最初のコメントを投稿しよう!