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年上の人が苦手だ。気を使うし、口調も定まらない、気分を害してしまえばこちらの不利益になる。 別に嫌いというわけではない。年上だからこそ分かることもあるし、さり気ない気配りをしてくれる人もいないわけじゃない。ただ、苦手なんだ。 年下の人も苦手だ。何を考えているのか分からないし、態度に苛立ちを覚えることもある、何か問題を起こしたらこちらの責任になる。 嫌いかどうかで言えば、嫌いになるのだろう。話は噛み合わないし、行動も意味が分からない。向こうも同じことを思っていることだろう。 同い年の人は苦手だ。理由は分からない。ただただ苦手で嫌いになる。向こうに何かされたわけでも、向こうが何かしたわけでもない。 誰かの言葉を借りるならば、生理的に辛い、のだ。一緒に居たくないわけじゃないけれど、一緒にいると辛い。喋りたくないわけじゃないけれど、喋っていると辛くなる。 要は、何もかもが苦手なんだ。 でも、居られないわけじゃないから、平然とそこに突っ立っている。 苦手と嫌いは並立するけど、辛いのはどこか違うところにある。だから気にしなければいい。 年上も、年下も、同い年も、皆同じなんだ。同じなんだから、何を気にするわけでもないのだろうか。 向こうは何もしていない、こちらは何もしない。 誰も損も得もしない話。苦手なものを、ただひたすらにかたったって、何が変わるわけでもない。 苦手なものは、人でした。
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