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久方振りの
《ゴッ》と鈍い音がして、私は「ぐっ」と小さな声を吐き出した。
喉仏らしき部分が内側に刺さるような、そんな痛みを感じる。
「なに、何がしたいの?」
そう言うのは彼。戸惑うのも彼。
私が彼の腕をとって、自ら首に押し付けたのだから、戸惑うのは当然。
「お、おい…」
私は彼の言葉を無視して、彼の腕をさらに強く掴んで押し付けた。
痛みが増して、喉がひゅうと音を立てた。
「………」
「…っが!?」
突如増した痛みと息苦しさ。
彼が体重を少しかけたのだと分かった時には、口の端がつり上がる。
ふっと彼から力が抜け、私は強く咳き込む。同時に、彼に頭を叩かれた。
「はは…っ、久しぶりだった、なぁ…」
小さく笑いながら呟いた言葉が、彼に聞こえたのか聞こえなかったのか、彼はもう一度私の頭を叩いた。
それにさえも、私は笑うだけだった。
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