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自社ビルの7階にある会議室。窓の外、黒い雲が空を覆う。6月上旬、まもなく梅雨に入るのだろう。室内はエアコンが聞いて寒い位なのに、見ているだけで肌がじっとりとしてくる。
その壁一面の、大きい窓ガラスに細かな水滴がつき始めた。
……雨。
「えー、この案件は穂積くん。穂積くんは……またか」
その低い声に上席に視線を戻すと、会議を仕切る営業部長が顔を渋らせていた。皆は聞こえないように小さい溜め息をつく。この案件を預かる当の本人が会議に出席してないのだからしょうがない。臨時企画室の会議も4回目、その4回とも彼が会議にまともに現れたことはない。
毎回遅刻。
皆がそれを嫌がってはいたけれど、営業成績のいい彼に部長はたまに皮肉を言うくらいだった。
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