63人が本棚に入れています
本棚に追加
春日は顔を上げると、いつの間にか俺の後頭部へ回していた手を、グイと自らに引いた。
「………っ!!」
重ねられた唇の熱が、かつての記憶を思い出させる。
俺だって、体の関係はなくとも、接吻の経験くらいはある。
だから…
(接吻なんて、何年ぶりだろ…)
「タイシさんの唇…柔らかい」
少年らしい幼さの残る笑顔を見せられ、怒りたくても怒れない。
「俺のファースト・キスだから…タイシさん責任重大だ♪」
「あのなあ…勝手にしたんだろうが」
「うん…タイシさん好きだから…」
ギュッとしがみつくように俺を抱き締める春日に、いい年をして少しキュンとなる。
(ヤバイな…可愛いかもしれない)
「タイシさんって、いつもタイシさんの匂いがする」
「加齢臭じゃねえだろうな…臭いのか?」
「全然!磯の匂いかな」
「磯っ!?磯…」
最初のコメントを投稿しよう!