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それからの春日は、絆愛の生徒として素晴らしい生徒へと成長していった。
背は宣言通りあっという間に抜かれ、柔道部ではめきめき腕を上げ、気がつけば部内で一番の強さを誇る選手に…
「言った通りだろ?」
「わかっている」
早朝、毎日朝練前に管理人室に来ては背を比べていたが、目線の高さがだんだん上がっていくことに、俺自身も次第に内心嬉しく思っていた。
「タイシさん…」
そして毎回、管理人室を出る前に俺の胸に抱きつく。
だが、それがいつしか俺が抱き締められつつあった。
逞しく成長していく様を、身に沁みて感じる。
「タイシさん…大好き」
時にはそんなことをまっすぐな目で言われる度、自分の立場を忘れそうになることもあった。
(惹かれている?)
ダメだ…
俺は職員で春日は生徒…
ましてや……
そんな思いを抱きながら、ついに春日は卒業式を迎えた。
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