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3月30日の朝―――
「よう、小暮。元気にしてたか?」
柔道部の練習に向かう小暮に誰かが声をかけた。
「あ、春日先輩。お久しぶりッス」
頭を下げる小暮に、185㌢はある高い身長に、痩せ過ぎてはいないが逞しい体つきで精悍な顔立ちの男・春日が『おうっ』と手をあげる。
「二年前、入学した頃はヒョロッこかったのに、いい体になったな」
「しごかれましたからね。寮に入ってすぐ卒業決まってた春日先輩達にも、在学中の先輩達にも。先輩はまだその体つきだと81㌔級ッスか?」
「太れねえんだよ。ま、スピードはさらにアップしたけどな」
「ひえ~…絆愛のカマキリと呼ばれた先輩の内股、また速く?見たいッス!ちょっと道場来てくださいよ」
小暮は春日の背中を飛び跳ねながら押す。
「うわっ…おまえなあ…中学生かっ!」
「いやだな~。俺は4月からもう三年になるッスよ」
「小暮が三年か…なんか、ピンと来ねえ。はははは…」
腰に手をあて笑う。
「で、今日はまたどうして?」
「ん?ああ…予約しておいた極上ダイヤを受け取りにな…」
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