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私は、ため息をつきながら、靴箱の扉を閉めた。
――どうしようかな…これ。
いや、常識的には、この『内村』って人に届けなきゃいけないんだろうけど…。
「めんどくさ…」
そう呟いて、後ろを振り返った時。
―――ドン!
「っ!」
後ろにいた人に気づかず、私は見事にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい…っ」
ああ。もう。
ほんと、ついてない…。
痛いし、恥ずかしい。
「大丈夫だよ。坂口さんこそ、大丈夫?」
頭上から聞こえる、落ち着いた男子の声。
名前を呼ばれたけど、その声に聞き覚えは無く、私は顔を上げた。
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