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「………。」
にっこーり笑って言う彼に冷や汗が出てきたのは、気のせいでしょーか。
ばれてました。
私がさりげなーく立ち去ろうとしていた事が。
はい。そりゃ、もう完璧に。
大人しく筆箱から、ペンを取り出した。
そのまま、俯いたまま無言で彼へと渡す。
「ん。ありがとー」
そう言うと、彼は私の手をギュッと握った。
「――――?!」
驚く私なんかお構いなく、この人は、私の手の甲にキュッキュッ。と何か書いている。
くすぐったくて、手を掴まれている事が恥ずかしくって。
心臓の音がうるさいし、頭の中はパニック。
…でも。
顔が赤くなる事は、無い。
戸惑いで、眼が泳ぐ事も。
私の心情は…誰にも気づかれない。
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