1.手紙

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「………。」 にっこーり笑って言う彼に冷や汗が出てきたのは、気のせいでしょーか。 ばれてました。 私がさりげなーく立ち去ろうとしていた事が。 はい。そりゃ、もう完璧に。 大人しく筆箱から、ペンを取り出した。 そのまま、俯いたまま無言で彼へと渡す。 「ん。ありがとー」 そう言うと、彼は私の手をギュッと握った。 「――――?!」 驚く私なんかお構いなく、この人は、私の手の甲にキュッキュッ。と何か書いている。 くすぐったくて、手を掴まれている事が恥ずかしくって。 心臓の音がうるさいし、頭の中はパニック。 …でも。 顔が赤くなる事は、無い。 戸惑いで、眼が泳ぐ事も。 私の心情は…誰にも気づかれない。
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