先輩、優しくしないで。

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もし、同じ車両だったら、声……かけてみようかな。 それくらい、してもいいよね。 か、彼女……なんだし。 彼女……。 ……顔、忘れられてたらどうしよう。 赤くなったり、青くなったり、ひとりで忙しく顔色を変えていると、次の駅に着いた。 もう、ホームの様子を見るだけで分かる。 満員電車決定。 こんなんじゃ、先輩が乗ってきても気づけない……。 ぎゅうぎゅうに詰まった電車が、先輩が待つ駅に着く。 人の隙間から、ホームを覗き込む。 ……いた! 同じ車両に、先輩が乗り込む。 あたしは、姿を見失わないように、出来るだけ上半身を伸ばし、目で追いかける。 あ……、どこかに行っちゃう……。 その時、あたしの腰は完全に座席シートから離れていた。
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