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各駅停車で、さらに人が乗ってくる。
人に押され、つま先立ち気味でつり革につかまっていたあたしの手はすぐに離れた。
「あっ……」
「大丈夫?」
先輩の胸に体が押し付けられ、そこから動けない。
「ごめ……なさ……っ!」
しどろもどろに謝って、慌てて離れようとするけど、中々体勢が元に戻らない。
「いいよ、おっかかってな。そっちのが楽でしょ」
「でも……」
「いいから」
それはとてもありがたくて、夢みたいに嬉しいことなんだけど、……困る!
昨日の朝まで、見ているだけの憧れの人だったのに、こんなにくっついたら……。
うるさいくらいの心臓の音が、先輩にも伝わってしまう。
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