先輩、優しくしないで。

7/22
前へ
/371ページ
次へ
緊張して、気まずくて、困るのに、……離れたくないとか矛盾してる。 嘘の告白からはじまった関係だけど、これからもっと……―― 「っ――!」 思考が強制的に停止する。 だから満員電車は嫌い。 椅子に座れない日は嫌い。 体が強ばる。 これは、先輩がそばにいるドキドキじゃない。 先輩の制服をつかんで、握り締める。 どうしよう。 声が出ない。 気持ち悪い……! 「っ……」 助けて……。 助けて! 先輩。 「それでさぁ、莉々ちゃんは、……莉々ちゃん?」 ずっと喋っていた先輩が、あたしの顔をのぞき込む。 「どうした?俺うるさ……」 耳鳴りがする。 冷や汗がすごい。 先輩が、あたしに話しかけてるのに、何も届かない。 「――莉々!」 「っ!」 突然手を強く引かれ、一瞬のうちにあたしは先輩の背中に回った。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7896人が本棚に入れています
本棚に追加