7895人が本棚に入れています
本棚に追加
やっと次の駅。
ひとつでこんなに長く感じたのに、あと何駅?
もっと速く走って。
あたしをすぐ学校に連れていって。
またたくさん人が乗ってきて、先輩の背中にますます密着する。
今のタイミングじゃなかったら、すごくすごくドキドキするのに。
先輩のことだけを考えていられるのに。
頼もしい背中を愛しく思うだけなのに。
「莉々」
「え……」
ギュッと手をつかまれ、伏せていた顔を、思わず上げる。
「こっちおいで」
「あ……」
手を引かれ、ぶつかりながら人の間を抜けて、扉が閉まるギリギリで電車を降りた。
最初のコメントを投稿しよう!