先輩、優しくしないで。

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やっと次の駅。 ひとつでこんなに長く感じたのに、あと何駅? もっと速く走って。 あたしをすぐ学校に連れていって。 またたくさん人が乗ってきて、先輩の背中にますます密着する。 今のタイミングじゃなかったら、すごくすごくドキドキするのに。 先輩のことだけを考えていられるのに。 頼もしい背中を愛しく思うだけなのに。 「莉々」 「え……」 ギュッと手をつかまれ、伏せていた顔を、思わず上げる。 「こっちおいで」 「あ……」 手を引かれ、ぶつかりながら人の間を抜けて、扉が閉まるギリギリで電車を降りた。
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