先輩、さよなら。

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先輩は、直樹さんのこめかみを両側からこぶしで挟み、ぐりぐりと締め付ける。 「ちょ、ちょ!マジ痛いから!」 「痛くしてんだよ」 痛そうだけど、同情も出来ない。 それどころか、先輩が怒っていることが、嬉しいと思ってしまう始末。 あたしの隣にいる美玖は、口に手を当て、「ひえー……」と声を漏らしながらも、なぜか目を輝かせていた。 「なんだよ、もー。こんなの、今さらじゃん。俺は、和真に彼女が出来るたびに、色々邪魔してやってるだろ?」 彼女が出来るたびに……。 知ってるんだけど。 先輩に、今まで彼女がいたこととか。 知ってたけど……。 改めて認識させられると、やっぱり……。 「うああああ!かか和真ちゃん!やばいやばい!」 直樹さんの叫び声が、一際大きくなる。 先輩が、こぶしにますます力をこめたらしい。 「うるせー。余計なことばっかり言いやがって」
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