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先輩と目が合う。
「莉々、こいつの言うことなんか、気にしなくていいから」
「はい……、全然」
強がって笑ってみるけど、気にしないのは……無理かも。
直樹さんに言われたとき、先輩は一瞬でも、邪魔された昔のデートを思い出したんじゃないかな、とか。
あたしじゃない“彼女だった人”を、懐かしんだのかな、とか。
そんなことを考えてしまう。
考えたって、無駄なのに。
あたしが先輩を好きすぎるせいだ。
視線を感じて、目を向けると、直樹さんがじーっとこちらを見ていた。
つい、後退りをしてしまった。
「そうそう。自信もっていいんだよ。莉々ちゃんは、和真に告られて彼女になったんだからさ」
「っ……」
この人、すっごく意地悪だ。
全部知ってるくせに。
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