先輩、さよなら。

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お互いに購買で買い物を済ませて、教室に戻ってきた。 「あのね、あたし、先輩に告白しようと思って……」 美玖は、パンを持ち、大きな口を開けたまま、あたしを見ている。 そして、パンを一口。 「あー、びっくりした。告白とか言うから、愛の告白とかかと思った」 「え、うん、愛の告白……。先輩に……」 「……」 美玖は、怪訝な表情で、もぐもぐと口を動かす。 「……どこの先輩?」 「叶和真先輩……」 「……」 美玖は、無言でまた一口。 変な空気になってしまった。 あたしも、パンの袋を開ける。 「え、なんで?どゆこと?」 「あ、えーとね、好きって言ったことなくて……」 「うん?」 「言ったら、「ごめん」って、返されちゃうかなって……、思ってたのね。今まで」
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