先輩、さよなら。

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「映画になるんだよね。おもしろい?」 美玖が早速漫画を読み始めてしまったから、あたしは遥くんに問い掛ける。 「あっ、うん、笑えるよ!」 「そうなんだ……」 先輩も、それ好きかな……。 そしたら、それを口実に、映画が公開されたら、誘える……。 「……美玖の次に、本宮にも貸そうか?」 「え?あ、でも……」 「大丈夫、俺、美玖にしか約束やぶんないから」 「こらー、聞こえてるぞ」 美玖が、コミックスの上から、目だけを覗かせて、遥くんをキッと睨む。 「美玖から直で借りてくれていいから。何巻もあるから、何回かに分けて持ってくるよ」 「ありがとう……」 本当に映画を観に行くとしたら、今のうちに予習しておいたほうがって思うから、ありがたい機会かも。 先輩にも、今日聞いてみようかな。 告白のあと……に。
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