先輩、さよなら。

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授業も全て終わり、掃除の時間。 あたしは、先週と同じく、今週も4階の教室の担当。 確か、先週は、直樹さんや吉野さんも4階にいたけど……。 ……まさかね。 ほうきを持ちながら、考える。 これが終わったら、先輩はきっといつものように、教室に迎えに来てくれる。 ちゃんと、順を追って言えるかな。 去年、電車で助けてもらったこと。 ずっとお礼を言いたかったこと。 その時から、恋をしていたこと。 そして……、あの罰ゲームを、最初から知っていたことも。 「……」 目をキュッと閉じる。 やっぱり怖い。 「莉々ちゃん、莉々ちゃーん?」 「っ、え?」 暗闇の世界に、突然飛び込んできた声。 目を開けると、同じ掃除の班の子が、机を運ぼうとしていた。 「そこ、もう掃除終わったよー」 「あ、そっか、ごめん、ボーッとしてて……」 この時間も、もうすぐ終わる……。
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