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先輩は、上履きのまま学校を飛び出して、再びあたしの手をつかんだ。
乱れた呼吸を整え、まっすぐにあたしを見る。
目と目が合った、その瞬間……
「……好きだ」
――今言ったの、誰?
頭が追いつかない。
先輩?
「先輩……、なに言ってるの……」
「好きだよ、莉々」
「っ……ーー!!」
ようやく理解した頭が、目の奥を熱くさせる。
手を振りほどこうとしたけど、力が強くてそれが適わない。
せめてもの抵抗で、空いている片手で、先輩の胸を叩く。
「嘘つき!」
「いって、なん……、嘘じゃないって!」
「嘘!嘘つき!バカ!離して……、離してよ!」
「莉々!」
胸をバシバシと何度も叩くと、ついに先輩に両手を封じられてしまった。
「まだそんなこと言うんですか!最初からずっと……っ、何回も嘘ばっかり!」
大粒の涙が、頬を伝って、落ちる。
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