先輩、あのね。

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「本宮……っ!」 遥くんが、あたしの手を一層強く握り、制止させようと力を入れる。 「……ごめんなさい、遥くん」 「また、いっぱい泣くかもしれないのに」 「うん……」 つかんでいる手に、自分の手を添える。 「いいの。先輩なら……」 「本宮」 「ごめんなさい」 遥くんの手を引き離して、あたしは走りだした。 先輩の手に向かって。 こんなに短い距離なのに、走っている間はスローモーションになっているようで、上手く足が進んでいないみたいでもどかしい。 胸に思いっきり飛び込むと、先輩は苦しそうに、けほっと咳を漏らした。 「好きです……っ、先輩、好き……」 初めて言えた、ずっと秘めていた気持ち。 もう、我慢しなくていい?
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