7896人が本棚に入れています
本棚に追加
「本宮……っ!」
遥くんが、あたしの手を一層強く握り、制止させようと力を入れる。
「……ごめんなさい、遥くん」
「また、いっぱい泣くかもしれないのに」
「うん……」
つかんでいる手に、自分の手を添える。
「いいの。先輩なら……」
「本宮」
「ごめんなさい」
遥くんの手を引き離して、あたしは走りだした。
先輩の手に向かって。
こんなに短い距離なのに、走っている間はスローモーションになっているようで、上手く足が進んでいないみたいでもどかしい。
胸に思いっきり飛び込むと、先輩は苦しそうに、けほっと咳を漏らした。
「好きです……っ、先輩、好き……」
初めて言えた、ずっと秘めていた気持ち。
もう、我慢しなくていい?
最初のコメントを投稿しよう!