先輩、あのね。

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「莉々……」 先輩は、ためらいがちにあたしの背中に手を回した。 顔を上げて、至近距離で先輩の顔を見る。 先ほども見せた、目を細めた苦い表情。 暗くて、分からなかった。 今なら、見える。 先輩は、照れるとそんな顔をするんですか? 赤い……。 「先輩……、ちょっと、わがまま……聞いてください」 「え?うん」 「もっと、強く、ぎゅって……してほしい……」 「……」 「っわ……!」 何の予告もなく、掻き抱かれ、広い胸に顔が埋まる。 「くそっ、なんだよそれ、可愛いな!」 苦しい。 ……嬉しい。 先輩と、両想いだ……。
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