7896人が本棚に入れています
本棚に追加
「莉々……」
先輩は、ためらいがちにあたしの背中に手を回した。
顔を上げて、至近距離で先輩の顔を見る。
先ほども見せた、目を細めた苦い表情。
暗くて、分からなかった。
今なら、見える。
先輩は、照れるとそんな顔をするんですか?
赤い……。
「先輩……、ちょっと、わがまま……聞いてください」
「え?うん」
「もっと、強く、ぎゅって……してほしい……」
「……」
「っわ……!」
何の予告もなく、掻き抱かれ、広い胸に顔が埋まる。
「くそっ、なんだよそれ、可愛いな!」
苦しい。
……嬉しい。
先輩と、両想いだ……。
最初のコメントを投稿しよう!