先輩、あのね。

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胸の音が、速くて大きい。 きっと、聞こえてる。 「心臓……、すごいドキドキ……してます」 「それ、俺のだよ」 「ううん、あたしの……」 「俺のだって」 「あたしのほうが大きいもん……」 「……ふっ」 「!!」 笑われた! 変なこと……言った? 「そんな張り合うほど、俺のこと好きなんだ?」 「……」 意地悪だ。 顔が見えていなくて、まだ良かった。 「…………すき……ですよ……」 「俺も」 声だけで分かる。 やわらかで、優しい。 心地いい。 好きな人が、あたしを好き……。 奇跡みたい。
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