先輩、あのね。

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ザッと、靴底が地面をこするような音が聞こえて、先輩の腕のなかに居ながらも、後ろを見た。 遥くんは、もういなかった。 遥くん……。 ちゃんと謝れなかったな……。 むにゅっと頬をつままれて、びっくりして先輩を見る。 「こら、なーによそ見してんだ」 拗ねてるみたいな顔。 先輩が、ムッてしてる……。 「よそ見なんてしないです。先輩以外、見たことないから……」 先輩は、面食らったように目を見開き、ふいっと顔を背けた。 「ふーん、そう……」 「……です」 「へぇ……」 先輩の顔が赤い。 幸せ……。
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