7895人が本棚に入れています
本棚に追加
/371ページ
あたしは今日も、登校してすぐに、階段を上がる。
3年生の教室がある、校舎3階まで。
今日こそ言うんだ。
先輩に。
伝えるんだ……。
人気(ひとけ)がない早朝の廊下を、1歩1歩確かめるように進んで。
見上げる教室のプレート。
3年3組。
中の声が聞こえる。
男子の先輩。
学年がひとつ違うだけで、いきなり敷居が高く感じてしまう。
深呼吸のために大きく息を吸い込んで……
「ほら、早く行けよ」
「分かってるっつーの。押すなよ」
先輩の声が、より一層大きく聞こえて、扉が開いた。
目が合って、驚いたのは、きっとあたしよりも先輩の方で。
一瞬困ったような表情の後、
「……好きです!付き合って下さい!」
吸い込んだ息を吐き忘れたあたしに、先輩が告白をした。
「…………ハイ」
本宮莉々(もとみや りり)、17歳。
いきなりですが、好きな人が彼氏になりました。
最初のコメントを投稿しよう!