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「えっ、マジ、すごっ!」
朝の出来事を、昼休みに友達の美玖(みく)に伝えると、予想通りの反応に、あたしは苦笑いで返した。
「叶(かのう)先輩って、あれでしょ。莉々がずっと好きだった人じゃん!すごくない?告られたとかさ!」
「うん……、すごいよね……」
あたしはテンション低く、美玖に返す。
口に運んだ、お弁当の玉子焼きが、甘くておいしい。
それだけに集中しようと頑張る。
「何それ、反応薄いしー!なになに?嬉しすぎて困っちゃうって?もー!」
楽しそうにはしゃぐ美玖に、本当のことが言えなくて、あたしはまた苦笑いを作った。
「てか、実は、先輩も莉々のこと密かに見てたんだねー。朝の電車でかな?」
……違うよ。
叶先輩は、あたしのことなんて、好きじゃない。
きっと、名前も、存在すら、知らない。
だって、あの告白は……。
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