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放課後。
叶先輩とは、一緒に帰る約束をした。
そういえば、待ち合わせ場所を決めていない。
ポケットからケータイを出すけど、連絡先の交換すらしていないことを思い出した。
朝のあたし達のやり取りは、すごく短いもので、
「好きです、付き合って下さい」
「はい」
「マジで?いいの?」
「はい」
「じゃあ、とりあえず今日一緒に帰る?」
「はい」
……これだけ。
あたしなんて、「はい」しか言ってないし。
付き合うって、あれ、本気にしていいのかな……。
昇降口の前で待っていれば、いつかは会えるはず。
そう思って、あたしは教室のある2階から1階へおりることにした。
先輩が、教室に迎えに来てくれるかもなんて、少しも考えなかった。
知っているはずがないから。
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