先輩、嘘つき。

4/11
7895人が本棚に入れています
本棚に追加
/371ページ
放課後。 叶先輩とは、一緒に帰る約束をした。 そういえば、待ち合わせ場所を決めていない。 ポケットからケータイを出すけど、連絡先の交換すらしていないことを思い出した。 朝のあたし達のやり取りは、すごく短いもので、 「好きです、付き合って下さい」 「はい」 「マジで?いいの?」 「はい」 「じゃあ、とりあえず今日一緒に帰る?」 「はい」 ……これだけ。 あたしなんて、「はい」しか言ってないし。 付き合うって、あれ、本気にしていいのかな……。 昇降口の前で待っていれば、いつかは会えるはず。 そう思って、あたしは教室のある2階から1階へおりることにした。 先輩が、教室に迎えに来てくれるかもなんて、少しも考えなかった。 知っているはずがないから。
/371ページ

最初のコメントを投稿しよう!