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昇降口に着いて、3年生の靴箱の前で待つことにする。
違う学年で、しかも先輩たちが多く通り過ぎていくここで立っているのは、居心地が悪い。
スクールバッグを体の前で両手で持って、うつむく。
下を向いてたら、気づいてもらえないかも。
どんどん人が増えてきて、あたしはますます不安になる。
こんなに多いと……。
男子の話し声が聞こえては、顔を上げる。
……違う。この人じゃない。
うつむく。
先輩の、声は……――
「ごめん、待った?」
顔を上げると、そこには叶先輩がいた。
気まずそうに、笑みを浮かべて。
「い、いえ……、全然……」
「よかった。じゃ、帰ろっか」
先輩が、見つけてくれると思わなかった。
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