先輩、嘘つき。

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*** 今日の朝。 何ヶ月も前から日課になってしまった習慣。 冬から、季節はすっかり春へと変わってしまっていた。 校舎3階まで上がり、今日こそ先輩に……言うんだ。 “あの時”は、助けてくれてありがとう、……って。 朝が早くて、生徒がほとんど登校していないけど、あたしは先輩がもう来ていることを知っていた。 毎日同じ電車に乗っていたから。 3年3組の教室の前に立つけど、中にいるのは叶先輩だけじゃないから、入るに入れない。 先輩の他に、男子が3人。 楽しそうに談笑している。 ……今日も、ダメかも。 ため息をつき、諦めて戻ろうとしたとき、 「よっしゃ!和真の負けー!」 「罰ゲーム!」 ひときわ大きな歓声が上がって、気になったあたしは、失礼ながら聞き耳を立てた。 罰ゲーム?
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