第1章

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ベンチの周りで華麗にダンスしながら歌う彼 せっかく こんな近くで見れるのに あふれる涙… 戻って来た彼は私の手を握って 「また動くからね」 と まるで合図のようにギュッと手に力を入れる 曲が終わり 真っ暗な空間に すぐにスタッフの人が来てベルトを外してくれて 涙を拭きながらお礼を言うと 「気を付けて降りて下さい」 と足元を電気で照らしてくれる 立ち上がると足がガクガクして力が入らず くずれていく身体 彼の腕に支えられ 「大丈夫?」 「あっ!すみません  なんか足に力が入らなくて… ごめんなさい でも…もう大丈夫です」 足に力を入れようとすると スーと体が浮き 「キャッ!」 人生初のお姫様抱っこ 「うわっ! 重たいから もう大丈夫だからおろして」 「動いたら落ちるよ」 「リョウさん 自分変わります 次あるんで準備行って下さい」 「そう もう本当に大丈夫ですから スタッフの方とゆっくり行きますから」 「大丈夫だから! ねぇ悪いけど、先降りてプレゼント用意しといてよ」 「了解です」
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