第1章

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 ブー ブー 「電話鳴ってる また抜け出して来たんでしょ? 子供みたい… マネージャーさん怒ってるよ!早く出ないと」  チェッ! 舌打ちをし 近くにあった駐車場に入り電話に出る 「……すぐ戻る… まだ時間あんだろ!後5分で着くよ! あぁ…チェッ!」 とても低く冷たい声… 車はまた走り出し 後5分… そう思うとまた涙が頬を伝う 「いつも時間なくてごめん …泣かないでくれよ… オレ そんなに苦しめてる? もう着くんだ 答えてくれよ!」 「うん…苦しい… すごく苦しいの… 私はファンの1人で、ごく普通の子持ちのおばちゃん そんな私があなたと話したり、会ったりするなんて おかしいの! あなたはアイドルで」 「そんなの関係ない!」 「関係あるよ! 関係あるに決まってるじゃん! あなたは…ウウッ… あなたは何もわかって…な… あなたが…普通にこうしてる事が ファンにしたら… 私にしたら…すっごい事で 年…甲斐もなく…年下の…憧れの…ヒック…」 「舞さん ごめん 大丈夫?」 「年下のアイドルに…抱きしめられたり… キ…ス… こんな事になれてない私にはきつい… 冗談で… そんなサプライズは…苦しいだけ あなたは仕事で色々な人と恋をしてキス…して きっと…あの…時もサプライズで あなたにしたら… 私とこうしてる事も… なんでもない事で…遊びで」 「なんでもない事じゃない! 遊びって… なんだよ それ…… ねぇ… オレを…そんな風に見てたんだ」 大きな駐車場に入り外を見るとマネージャーさんが走ってこちらに向かって来る 「チェッ! 行くね!気を付けて帰って いつも…ごめん…」 車のドアを開け閉める前に低い声で言い離れて行く彼 この場に居たらいけない 急いで車を走らせる 胸が苦しくて苦しくて 涙が止まらない 怒った…よね? もう会えないよね? 会っちゃいけないんだよね? これでいいんだよね? もっと若かったら 彼が普通の人なら 子供がいなかったら… ダメ!  子供のせいになんかしちゃダメ あの子達は私の生きがい 宝物 早く帰ってご飯の支度しなくちゃ 自分に言い聞かせながらも止まらない涙 私…どうすればいいの… …苦しいよ……
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