第2章

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「お前ばかりに負担をかける。政治の腐敗を取り去る為の、粛清も。此度の襲撃も。 私はお前に、汚い仕事ばかりをさせている」 「望んでしたことです。それに、私は一度だって兄上から命じられた事はありません。全て、自分でしたことです」 「だとしても、それは私を思っての事だ。私がさせたのと、大差はないだろ」  苦笑するコンラッドに、ユーリスは申し訳なく思うばかりだった。  ユーリスにとって、コンラッドとアイリーン、そしてもう一人の弟だけが唯一の家族だ。  無条件の愛情をくれる人。  自分がいてもいい場所。  そういうものに執着してしまう。  それを護る為なら、何でもできる気がした。 「ユーリス」  手の甲に触れるコンラッドの手。  情けない子供のような目で見てしまうユーリスに、コンラッドは笑いかけた。 「お前だけが背負うものじゃないと、いうことだ。私も、背負うから」 「兄上」
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