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「あら、コンラッド兄さまばかりじゃないわよ」
ボスッ
と、体に体当たりするようにアイリーンが抱き着く。腰に回った手は、きつく抱きしめていた。
「私だって、少しは役に立つのよ。いつまでも子供と思わないで」
「大人のレディーは、兄に抱き着いたりはしないものですよ」
「あら、鈍い兄さまにはこのくらい過剰が丁度よろしくてよ」
むくれたように言うアイリーンが可愛らしい。
こうしていると、大昔を思い出す。
皆がまだ、無邪気だったころだ。
あの時間を、守ると決めたのだ。
「ユーリス?」
「兄上、私はとても幸せですね」
呟いたユーリスは、俯いたまま顔をあげなかった。
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