第2章

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「あら、コンラッド兄さまばかりじゃないわよ」  ボスッ  と、体に体当たりするようにアイリーンが抱き着く。腰に回った手は、きつく抱きしめていた。 「私だって、少しは役に立つのよ。いつまでも子供と思わないで」 「大人のレディーは、兄に抱き着いたりはしないものですよ」 「あら、鈍い兄さまにはこのくらい過剰が丁度よろしくてよ」  むくれたように言うアイリーンが可愛らしい。  こうしていると、大昔を思い出す。  皆がまだ、無邪気だったころだ。  あの時間を、守ると決めたのだ。 「ユーリス?」 「兄上、私はとても幸せですね」  呟いたユーリスは、俯いたまま顔をあげなかった。
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