18人が本棚に入れています
本棚に追加
その夜、夕食が終わると三人は談話室へと入った。
五~六人が寛いで話ができる程度の小さな空間に、暖炉の明かりがちらちらと見える。
そこに、アドルファスが座って待っていた。
「皆さん、お集まりで」
薄く笑ったアドルファスが、入ってきた全員を見回す。
そして、それぞれが思い思いに腰を下ろすのを待って、お茶を淹れて座り直した。
「アドルファス殿、話とは」
少し硬い調子で、コンラッドが口を開く。
ただ、内容の予想は全員ができていた。
「今回の魔物襲撃に関して、何か異様なものを感じたのではと、思いまして。
私が知る限りの過去を、お話しようかと思うのだが、よろしいか?」
伺いを立てるアドルファスに、全員が頷く。
それを確認して、彼は一つ呼吸を置いた。
「過去、創世の時代まで遡る。
その時代、世界はまだ別れてはいなかった。
天使、人間、魔物、魔族。全てが世界に混在していたのだ」
その話に、三人は顔を見合わせる。
知っている創世の物語とは違っている。
最初のコメントを投稿しよう!