第2章

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 その夜、夕食が終わると三人は談話室へと入った。  五~六人が寛いで話ができる程度の小さな空間に、暖炉の明かりがちらちらと見える。  そこに、アドルファスが座って待っていた。 「皆さん、お集まりで」  薄く笑ったアドルファスが、入ってきた全員を見回す。  そして、それぞれが思い思いに腰を下ろすのを待って、お茶を淹れて座り直した。 「アドルファス殿、話とは」  少し硬い調子で、コンラッドが口を開く。  ただ、内容の予想は全員ができていた。 「今回の魔物襲撃に関して、何か異様なものを感じたのではと、思いまして。 私が知る限りの過去を、お話しようかと思うのだが、よろしいか?」  伺いを立てるアドルファスに、全員が頷く。  それを確認して、彼は一つ呼吸を置いた。 「過去、創世の時代まで遡る。 その時代、世界はまだ別れてはいなかった。 天使、人間、魔物、魔族。全てが世界に混在していたのだ」  その話に、三人は顔を見合わせる。  知っている創世の物語とは違っている。
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