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「想像とは程遠くて申し訳ないが、美化の産物だ。現実はそれほど美しくはないと相場が決まっている」
「確かに、伝説やら逸話の類は大げさですが…」
納得はいっていない。
そういうユーリスの視線に苦笑しつつ、アドルファスは話を先へとすすめた。
「私の人格についてはおいておこう。
圧倒的に不利な人間だったが、その中で頭角を示す者も出てきた。
武具の生成、魔法の改良、医術の発展。
こうした技術を得た国は当然のように発展し、やがていくつかの強国が生まれた。
その中に、カーマインという王が立った」
創世の王、カーマイン。
強く、優しい王であったと記録がある。
だが、アドルファスが語るカーマインは、もっとずっと人間臭かった。
「珍しく光魔法を究極レベルまで習得した人間だった。
その実、中身は随分浮遊してたな。
頭のてっぺんに花でも咲いてるのかと思うくらいだ」
「一応、創世の王なのだが…」
「あれがそんな大層な名前で呼ばれているのを知って、私としては痒くなったし、大いに笑えた」
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