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「人界を挟むように、世界を分けた。
だが、元は同じ世界だったからな、放っておけば一つに戻ろうと動く。
そうならないよう、カーマインは人界に柱を立てた。
二つの世界を支える支柱だ」
それは、建物のようなものだった。
天界を天井、魔界を地面。その二つを分けるように、柱を八本立てたのだ。
「これが無ければ、世界が急速に接近して、衝突するかもしれない。
そうなれば、どんな災いになるかわからない。
そうならない為の柱だ。
そして、この柱を延々と支え続ける為に、奴も身を投じた」
アドルファスの声が途絶える。
感情が読めない顔だった。それが、余計に痛々しくユーリスには思えた。
大事な、友人だったのだろうと思える。
失い難い人物だったのだろう、アドルファスにとって。
今の彼の顔は、過去ユーリスにも覚えのある表情だった。
「年月が経ち、柱に何らかの不備が出てきたのかもしれない。
魔界の側の壁が薄くなっているのだろう。
だからこそ、魔物が多く人界に流れ込み始めている」
「不備、とは」
「見てみないと分からないが、考えられる事は戦での損傷だろう。
人界では度々、大規模な戦が行われている。
柱を形成する遺跡に傷があるのかもしれない」
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