第2章

25/29
前へ
/41ページ
次へ
 これはアドルファスも同じで、意外なユーリスの反応に少しばかり驚いていた。 「陛下、アドルファスが私を選び契約したのです。私がやらねばならない使命です」  頭を下げ、願い出るユーリスの決意は固い。こうなると人のいう事など聞かない事を、コンラッドは知っていた。 「部下を連れて行く事。一人の力で無理だと感じたら、大人しく援軍の到着を待つ事。 この二点を約束するなら、お前の好きにしていい」  溜息のままユーリスの行動を許可したコンラッドに、ユーリスは更に深く礼をした。  程なく全員が解散していく。  ユーリスもアドルファスを伴って自室へと戻った。 「アドルファス」 「なんです?」 「一つ、私の疑問に答えてもらえませんか?」  椅子に腰を下ろしたユーリスが、穏やかに問う。  こういう静かなユーリスを見るのは、アドルファスは初めてだった。 「なんでしょう」 「異種族の魔物が、あれだけの統率を取れるのですか?」  疑問、とは言うが、ユーリスはその答えを既に持っているようだった。  アドルファスにも、笑みが見える。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加