18人が本棚に入れています
本棚に追加
これはアドルファスも同じで、意外なユーリスの反応に少しばかり驚いていた。
「陛下、アドルファスが私を選び契約したのです。私がやらねばならない使命です」
頭を下げ、願い出るユーリスの決意は固い。こうなると人のいう事など聞かない事を、コンラッドは知っていた。
「部下を連れて行く事。一人の力で無理だと感じたら、大人しく援軍の到着を待つ事。
この二点を約束するなら、お前の好きにしていい」
溜息のままユーリスの行動を許可したコンラッドに、ユーリスは更に深く礼をした。
程なく全員が解散していく。
ユーリスもアドルファスを伴って自室へと戻った。
「アドルファス」
「なんです?」
「一つ、私の疑問に答えてもらえませんか?」
椅子に腰を下ろしたユーリスが、穏やかに問う。
こういう静かなユーリスを見るのは、アドルファスは初めてだった。
「なんでしょう」
「異種族の魔物が、あれだけの統率を取れるのですか?」
疑問、とは言うが、ユーリスはその答えを既に持っているようだった。
アドルファスにも、笑みが見える。
最初のコメントを投稿しよう!