第2章

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 ユーリスの瞳を、灰銀色の瞳が睨む。綺麗な顔に憎しみが見える。  そんな、愛憎混じるような表情をするとは、ユーリスは思いもよらなかった。 「私がお前に腹立たしさを覚えた理由が、今分かった。 その自己犠牲の精神と、己の愚行を疑わない辺りが、あいつに似ていたのか」 「あいつ?」  それが示す人物を、ユーリスはアドルファスの中に一人しか見出せない。  創世の王、カーマイン。 「貴方の中のカーマイン様は、どれほど大事だったのですか?」  思わず、問いかけた。  この高慢な天使が、本気で怒る相手の事を知りたいと思った。  アドルファスはユーリスを睨み付けたまま、やがて諦めたように視線を外へと投げた。 「ただの友人だ。バカな、親友だった。 だが、あいつに悪戯を仕掛ける時が、怒って抗議するあいつをからかう時が、何より楽しかった。 そういう相手だったんだ」 「大事な人、だったんですね」 「そうでもない」 「貴方は案外、人間臭い顔をしますよ」  ユーリスの口振りに、アドルファスは明らかに嫌な顔をする。  だが、否定もしなかった。
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