カットキットは焼くとおいしい

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「本当はね、あの時、恥ずかしくて恥ずかしくて、駆けだしてやろう かと思ったの。半分嬉しかったのに、半分素直になった」 「でもお前は逃げ出さなかった。跳ねっ返りの心より、素直な喜びの 気持ちが勝ったんだ」 「お前がそういう性格だって、分かってる。親の問題もあるし、昔の イジメのこともあって、人の好意ってのを信じられないの、知って る。でもな、俺はユリのそういうとこも含めて、全部理解したいん だ!」 「・・・!?」 「だから、頼む! 嫌なことは嫌だって言っていいし、やりたくない ことはやりたくなくていい! だけど、俺を突き放さないでくれ!  逃げないでくれ!」 「ケンジ・・・!?」 「出ないと俺、ショックで死んじまう・・・」 「何言ってんのよ、もう・・・」 「へへ・・・」 「やっぱり、食べたいな、焼きカットキット」 「うん、食べよう、ほら」 「うん・・・(ギュギュッ)」 「ユリの手って、さわり心地いいよな」 「バカ!」 「ウヒヒ」
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